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SSかな?② [そのた]

幻想入りのレビューは一つ前か後ろになります。

一月ほど前にSSを書いたものなのですが、
当時どうにも納得いかず一度ブログに掲載したのですが、1時間くらいで下げてしまった作品です。

本当はこのままお蔵入りする予定だったのですが、
ある方のサイトを見ていて、作品を見直して一部を修正してみました。
良くなかったのか、どうかと言う部分はアレですけどねw

未来の幻想郷と、ちょっと好みの出るタイプのお話ですが、
よろしい方でお時間のある方はお付き合いください。









季節が廻って






暦の上では春になったとは言え、春告精はまだ見ない。
雪はまだ溶けていないばかりか、懲りもせずに連日降り積もる一方で…
今日は空が雪を降らすのに疲れたのか、久しぶりに太陽を見ることができた。

飛んでいる目の前、魔法の森の一角に、アイツの家がある。

『まったく…何の用なのよ…』

ぼやきながらも、どうせ今日もろくな用事ではないだろうと想像しつつ
アイツの家の前に着地する。



『よぅ、来たか』

『えぇ、来てあげたわよ…
 それよりも、寒い中呼び出したんだから暖かい飲み物くらいもらえるかしら?』

『そいつは良いな、私の分も頼んだぜ』

『何よそれ…私がやるの?』

『当店はせるふさーびすって奴なんだぜ』

『はいはい…で、お茶葉はどこにあるのかしら?』

呆れながら、家の中のどこからとも無く聞こえる声に対し反応する。
壁側には今にも雪崩がおきそうなくらい、不安定に積み上げられた本。
床には価値があるのか無いのか良く分からないものが、埃が積もった状態でゴロゴロしている

弾幕ごっこ以外で屋内を飛ぶのは後にも先にもコイツの所だけなのよね…

いつものようにため息を一つついてから、私は作業に取り掛かる。
人形達に茶葉を探させるついでに、人が二人座れるスペースを作る。

全てが終わって、ちょうどお茶が沸いたところで、
アイツ…魔理沙はタイミングを計ったかのように顔を出す。
これもまた、いつものことなので気にはしない。

『ほら、熱いから気をつけなさい』

『大丈夫だ。私は猫舌だからな。暖まってからゆっくりと飲むぜ
 ところで、おやつは無いのか?』

『…言うと思ったわ』

クッキーを差し出すと、
待ってましたといわんばかりにぼりぼりと食べだす。

おせんべいじゃないんだから…と呆れ、ため息を一つだけつく。



それは

数十年間何一つ変わらないままの風景。


ただ一つ、魔理沙の外見はすっかり年老いた…

それだけの変化。




『今年はリリーの奴遅いな…
 いつぞやの時みたいに冬の妖怪でも退治しに行くか?』

そう言って、八卦炉…ではなく八角形のクッキーを私に向ける魔理沙。

『とばっちりを受けた私の身にもなりなさいよ…』

『あの時は先に手を出したのはそっちだぜ』

『あら?そうだったかしら?』

『私は記憶力だけは良いんだぜ』

笑いながらお茶をすする魔理沙。

『こっちは、なけなしの春を奪われて、あの日一日寒かったのよ』

『ははっ、私は身も心も暖かかったぜ
 どちらにしても、次の日には暖かくなったから良いだろう』

『あの後、風邪引いたんだからね。今日だっていきなり呼び出して…
 あの時みたいに風邪引いたらどうしてくれるのよ?』

『良かったじゃないか。バカじゃなくて。バカだと風邪引けないんだぜ』

『はぁ…』



『…懐かしいな』

魔理沙が不意に窓の外を見ながらぼそりとつぶやく。
釣られて窓の外を見るが、雪景色しかない。

見ているのは景色ではなく、過去の想い出。

『そうね…』

時には敵対し、時には一緒に異変を解決した。

『妖怪は異変を起こすもの。人間は異変を解決するもの。
 博麗の巫女じゃなくても、人間じゃなくても
 それこそ妖怪でも妖精でも、異変が解決すればそれで良い…
 いつだったか、霊夢が言っていたな』

『霊夢らしいものぐさね…』

『そうか?お陰で私は楽しめたぜ、アリスだってそうだろう』

『否定はしないわ』

『やれやれ、素直じゃないな…』

『誰かさんのせいよ。だ・れ・か・さ・ん・の』

『誰だか知らないが、アリスも大変だな
 悪い奴はちゃんと懲らしめないとダメだぜ』

『はぁ…まったくよ』






『いくつになっても変わらないわね』

『うん?私はすっかり婆さんだぜ』

『見た目じゃなくて中身の問題よ』

『ははっ、そいつはどうも』

『ねぇ、魔理沙…』





『貴女、魔法使いには…ならないの?』





『何を言っているんだ。私は、魔法使いだぜ』

『そういう意味じゃなくて…』




『そうだな…霊夢の奴が人間を辞めてたら、考えたかも…な
 霊夢はもちろん、あの咲夜だって人間として生きた…それに…
 私は、人間で普通の魔法使いなんだぜ』

『なによ…それ』

『そうそう、忘れるところだったぜ』

『ちょっと、誤魔化さないでよ』

『誤魔化してはいないぜ、話のついでって奴だし、
 今日アリスを呼んだ話だぜ』

クッキーを一つつまみながら、魔理沙は立ち上がる。

『何よ?』

『私が死んだらさ、ここにあるものを皆に返してやってくれ』

『何で私がそんなことしなきゃならないのよ?
 貴女が返せば良いだけじゃないの』

『私が死ぬまで借りるって言った手前、
 生きている間に返したら嘘吐きで泥棒になるだろう?』

『嘘吐きじゃなくても、アンタは泥棒でしょう』

『ははっ、小さいことは気にするな。
 それに、頼めるのはアリスしかいないからな…頼む』

『…はいはい…仕方ないわね』










『ねぇ、魔理沙』

『なんだ?』

『本当に魔法使いにはならないの?』

『何度もしつこいな。私は魔法使いだぜ』

『…そう』

『私は小さい頃、不思議にあこがれたんだ
 幻想郷にはいろんな奴が居て、びっくりするほど不思議なことがいっぱいあるってな。
 それを知って人里でひっそりと暮らすのはもったいない…ってな』

ゆっくりとお茶を飲み干し、魔理沙はふと思いついたかのように

『なぁアリス、お前に問題だ』










それから数日後、春告精がやってくる前日の日に魔理沙と永遠に別れることになった。

意外なことと言えば、魔理沙が盗んでいたものは持ち主が分かるように
全てに持ち主の名前が一つ一つ書かれていた。
私のものと、アイツのものを除いて…

アイツの帽子をかぶって、アイツが盗んでいった幾多のものを返しながら…
その間だけ、私は魔法使いを辞めていた。
返し終わる頃になると、伸びていた髪の毛は、ちょうど魔理沙くらいの長さになっていた。

魔理沙の借り物が全て返し終わった今でも完全な答えは分からないし、
アイツの視点にならないことには、意味を理解することが出来ないだろう。

『魔法使いってなんだろうな…か』



-了-














雑記と言う名の当時のあとがきを一部修正加筆したものです。


読んでいただきまして、ありがとうございます。
楽しんでいただける人が一人でも居れば倖いです。


SSを書くの、ずいぶん久しぶりなのですが、(半年以上たっていましたね)
ADV形式の動画に慣れきっていたのか、難しいですね。

時間を置いてみると、あれ?と思ったり、
当時は何でこう思ったのかなーなどと思ったりと、違った発見がありますね。

シーンが進むに連れて地の文章が無くなっていくのも、
中盤から終盤にかけて流れなども含め、力量不足を感じます。
SS形式なので地の文章をゼロにするのではなく、
テンポを崩さない範囲で割合良く入れたかったりはするんですけれどね。

さて、未来の幻想郷って、想像しはじめると、
人それぞれ違うのでしょうけれど、
こうなっていそうですねーと次から次へと案が出てきたりして楽しかったですね。

最近はちょっとアレコレと試していたりするのですが、
表現の幅を増やしたいなーと思いつつ、今回はコレで失礼させていただきますね。
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色鉛筆

こういう作品すごく好きで感動しました・・・

レビューいつも読ませていただいてても感じますが
文才(?)っていうのかな?

そういう力というかレベルが高いんだろうなぁ・・・

未来編好きの一人として参考にします!
by 色鉛筆 (2010-03-21 18:58) 

もんばんの人

>色鉛筆さん
ご視聴ありがとうございます。
個人的には死が関わる事もあり、どうかなーと思いつつの作品だったので
そういっていただけるとすごく嬉しいです。

文才…あると良いなーと思うのですが、無い側の領域だと思っています。
見入る文章や共感できる文章に展開、本当に難しいです。
私、直感で書く人間なので、プロットも無い、一発書きが殆どで、
気を抜くと本当に会話ばかりになってしまうと言う悩みもあったりします。

>参考にします!
ぢ…ぢつは、
色鉛筆さんの作品で返すZE☆と書かれた袋が図書館にあったシーンの印象が強く、
あのシーンの影響を受けている裏話が既にあったりします。

過去に未来と、色々と想像できる辺りも東方の魅力ですよねー。
それではー。
by もんばんの人 (2010-03-22 02:22) 

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